株式会社ラクーンホールディングス

小方の気まぐれ日記
小方の気まぐれ日記 2009年
今期の第二四半期の決算を発表したところ、多くのマスコミで取り上げられた。不景気の影響もあるので、大躍進とまではいかないが、この不景気によくここまで頑張ったね、といった感じなのだと思う。
yahooでは、ネット問屋は100年に一度の不況に強いと紹介された。
今期好調である最大の理由を考えてみると、会員の絞込みが考えられる。実は1年ほど前より会員を大幅に絞り込んでいる。出展企業は問合せのある企業のうち1割程度しか出展に至らない。登録してくる小売店で残るのも10%程度である。無料のサイトが乱立し始めたので、差別化戦略を強化したのだ。不景気の影響で週末起業が大量に増えているが、申し訳ないことにその方たちの殆どはスーパーデリバリーに入会できない。弊社の会員は、プロの小売店が多く、そのような方たちと同等に扱われるのを嫌うからだ。
「週末起業、ネットショップでお小遣い稼ぎ」という感じの番組を時々見かけるが、無責任な印象を持たざるを得ない。そのビジネスはあまりに参入障壁が低いため、瞬く間にライバルだらけになり、その殆どの人が利益よりも多い出費と付き合うことになる。その事実もあわせて紹介するべきだと思う。
メーカーになることを目指す、創業間もない企業や個人を応援するためのプロジェクトを発足した。
ゼロイチプロジェクトだ。

スーパーデリバリーは、全国に2万5千店舗の会員を有するマーケットプレイスだ。このマーケットを使ってこれらの方々を応援する。これは、参加する人にも、また差別化されたオリジナル商品に出会える小売店にも、また弊社にもメリットがある企画だ。初回は厳選なる審査により、9名が参加した。どれも個性の強い商品群たちだ。12ヵ月後に、弊社の基準に基づくアンケートや売上により審査を行い優勝者を決定する。賞金は100万円だ。ものづくりのスター誕生となることを期待する。年明けに第二回の選考が行われる。状況を見ながら続ける予定だ。
弊社の取引先には百貨店に卸しているメーカーがたくさん存在する。日本の百貨店が駄目だというので、それじゃあ「中国はどうだ」という話がよく出る。確かに中国の百貨店はとても調子がよく、高額商品でもどんどん売れている。「Japan as NO.1」のノリで「日本製品は品質がいいから中国に持っていけば売れるだろう」とテレビでもよくそう紹介されている。銀座でも中国のニューリッチが買い物をしまくっている。

しかしながら、私はこの考えに慎重さを求めたい。中国という巨大マーケットに対して弊社としても色んな可能性を求めたいのは確かだが、なんでも安易に考えるのはよろしくない。実際に日本製品をそのまま輸出したのでは、色々な問題が残る。それは、マーケットが違いすぎるからだ。行ってみると分かるが、北京の百貨店に日本製品は殆ど存在しない。服やバッグ、靴などはイタリアかフランス製。電化製品は韓国製が目立つ。特に北京の高級百貨店では、価格帯でも日本を遥かに凌いでいる。俗に言う“バブリー”な感じだ。もちろん、これはごく限られた富裕層に関する話なのだが。私が持っていった日本製品に関心を示す人はおらず、富裕層の人たちは、シャネルやグッチといった有名ブランドだけに興味を示しているようだった。デザインに関してもシンプルで丈夫なものに興味はなく、“ド派手”なものが人気のようだ。品質の話に関心を示した人は殆ど居なかった。いち早く現地でSPAを展開し、現在30店舗ほど持っている社長がいうには、ちゃんと現地の人の好みを研究し、サイズや色もそれに合わせて、売れた分だけタイムリーに作り足す仕組みを構築しなくては決して成功しない、とのことだった。まあ、当然のことだ。
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東京商工会議所の創業塾で講演をしてきた。創業塾は全国の商工会議所で行われており、その数は年間で、数百を超えているだろう。どこから予算が出ているのかは分からないが、私はこの講演はできるだけ受けることにしている。東商で行われる創業塾は、毎回100名から120名程度参加しており、下は学生から上は60代まで様々だ。みんなとても真剣で、「本当に起業すると決めている人?」って聞くとほぼ全員が手を上げる。全国500箇所以上ある商工会議所でも、東商の創業塾は言うまでも無く全国トップレベルで、話をしていてもその真剣さがよく伺える。私は、実は過去9年間で既に数千人に講演をしていることになるので、全国に数千人の起業家の教え子がいることになる。特に東商では年に3回行っており、卒業生たちが時々大きな同窓会を行うので私も顔を出す。
この会に出ていると、日本の未来はとても明るいように思えてくる。
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出展企業各社へ「eコマースの現場から」というタイトルの手紙を出すことにした。eコマースのいいところは、1つのサイトをみんなで使うことが出来ること。それにより従来、人力では不可能だった大勢の人との商談や商取引が一瞬にして可能になることだ。しかしながら、参加する人が増えるにつれ何かを伝えるのも難しくなる。1人1人に会って直接お話をしながら伝えられればどんなにかいいだろう、と思うことも少なくないがそれは叶わないことだ。仮にそれが出来たとしても、会って話したからといってみんな何でも納得するということでもない。大事なのは会って話すことより聞くことなのだと思う。中には不満もあるだろうが、樹木だって二酸化炭素が無ければ光合成が出来ないのと同じように肯定的意見や賛辞を集めるような努力にはむしろ意味はない。「eコマースの現場から」という手紙は会社の方向性やサイトが目指す方向性に関して説明するため、出展企業各社の管理職や経営者宛に送付される。そして意見を集めるために、返信用のアンケートが同封される。もちろん、その全てに目を通し返事を書くので8月はそれに大忙しだった。同様のことを会員小売店にも(部分的だが)行ったものだから更に大変なことになってしまった。途中で、ふと「こりゃ1人じゃ無理だ」ということに気が付いてちょっと悩んだが、すぐにいい方法を思いついた。みんなに手分けして手伝って貰おう。ただ、手伝ってと言っても面白くないので、1つの企画にして振り分けることにした。この内容が一部のマスコミに記事として採用された。
http://www.j-cast.com/kaisha/2009/09/10049307.html
どうやら、この企画は恒例となりそうだ。
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上場してから4回目の株主総会を行った。
参加していただける株主の人たちは徐々に増えつつあるようだ。
今回は、初めての配当を行った。小額ではあるが、上場してからの初めての配当に重要な意味合いを感じる。我々としても“今後への姿勢を示す”というものを意識してこの決断を行った。私を含め従業員の大半が株主でもあるので、小額とはいえみんな配当を貰ったことになる。もちろん、その意味が小さいとは思わない。
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立て続けに海外に関する契約を2つ行い、2つ発表した。1つは台湾、香港への輸出開始。もう一つは韓国の東大門のSDへの参加である。
実は、台湾、香港への輸出というのはこれまでにも行ってきた。ただ、社内で実験的に行ってきたので手間ばかりが掛かって中々拡大はしなかったのを、外部の力を借りて自動化したのだ。これにより、海外からの注文もスムーズに受けることが可能になる。ただ、海外への輸出は三段階で考えていて、今回はその二段階目だ。海外からの問合せは、10年前からそれなりに存在したが、その問合せの内容は不明確なものが少なくなく、元々輸入業をしていた私は、これらの問合せを取引各社にそのまま振ったら混乱するだろうと思った。外国は外国で、商習慣などその国によって様々で、いまだそのトラブルは決して少なくない。
もっとも問題となるのは商習慣と法律の違いだ。これら全てをIT化するのは現実的ではなく、したがって日本語で問合せがあったものだけを今回対応することにした。つまりは、中国語や英語のサイトは現時点では作らないということだ。これによりスタートは静かなものとなるが、第二段階のエクササイズとしては理想的なものとなるだろう。
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ポイント制度が始まった。
スーパーデリバリーにはこれまでにもポイント制が存在したが、1万ポイント以上貯めてからでないと使えないといった少々使い勝手の悪い点が存在した。これを見直し、会員小売店の利用状況に応じてポイント付与率を変え最大で3%のバックを得られるようにした。 これまでは、特に利用状況に応じたサービスの違いというのはなかったが、最近では毎月のように数十万円購入する方が増えてきているため、そのメリットを明確にすることにした。
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通年での黒字化がほぼ確定したので、短信として発表することにした。2006年の終盤より、マーケットを拡大する目的で調達した資金を投入し続けてきた。その結果、3年で売上は約23億円から約70億円となり、利益面でもこの期で黒字化が明確となった。
この間、会員小売店は6,293店舗から22,851店舗となり、掲載されている商材数は、50,020点から260,287点となった。

また、株主配当金の予想を発表した。上場以来配当は行ってこなかったが、黒字化の見通しがたったいま、会社としての方向性を示すためにも姿勢を示したいという考えから僅かではあるが配当する意志があるという意味で配当の予想を発表した。
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3Km圏内通勤手当なるものが、社内で施行された。これは会社から3Km以内に住むと月々2万円(大阪は1万円)の手当てが支給されるというルールだ。兼ねてより交通費に関しては疑問を感じていた。よく、「家賃が高いので地方に住む」という話を聞くが、、、私は、そういう話を聞くと「そりゃ家代は安く済んだかも知れないけど、その定期代を払う会社は大変だろうなぁ」と思ったりする。思いっきり経営者目線ではあるかもしれないが、うちでは財務状況など従業員に対してもガラス張りの経営をしており、「会社のお金はみんなのお金」ということになっている。だから、遠隔地に住んで高い定期代を申請する人は、人よりも余計に経費を使う人ということになるのだ。実家から通っているならば仕方がないかも知れないが、私としては、数万円の家賃を節約するために遠くから通おうとしている従業員を見ると、「君が申請するだろう定期代を君に直接あげるから、その分のお金で近くに住んだら?」となるわけだ。だから、3Km圏内に住む人間には2万円/月を支給することにした。17名ほどが引越しをした。そして恐らく彼らはラッシュアワーの地獄から開放された。疲れないし、睡眠時間も増えプライベートも充実したと思う。
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商業界より「ネット問屋で仕入れる」というタイトルの本を出版した。
今回出した本は、いわゆるノウハウ本である。ネットの問屋というのは大分数も増え1つの業界になりつつある。バリエーションが増えるのは選択肢が増えることでもあり、健全な競争が行われることは、業界が形成される上で必要なプロセスでもある。したがって、それはいいことでもあるのだが、その一方で色々問題も出てくるのは確かだ。BtoBのことや流通のことを詳しくない人が、それを謳いサイトを展開すると予想だにしないトラブルが発生し、その印象が全体の印象に影響を与えるという問題だ。
国内で最初にこのビジネスモデルを手がけてきた我々としては、差別化も大事だがその前に業界全体の印象を落とさないように、「これからネットで仕入れようとする小売店のみなさまはここに気をつけてね」、「こういう風に使うといいですよ」、また運営する側にも「最低限、これだけは守ってね」という趣旨も込め本を出すことにした。

個人的には、ノウハウ本はいつも退屈するので、出来るだけシンプルに分かりやすく、また内容も少なめにしてイラストをたくさん入れた。
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投資家への説明会もだいぶ慣れてきた。ただ、学校でも授業参観日で普段のことが全部は分からないように、説明会で伝えにくい会社の全体像をどこまでどう伝えていくべきかについてはいまだ悩むところだ。
説明会を終え、集まった方々と立ち話をしていると、不思議な雰囲気の投資家に出会った。勝負師のような一種独特の存在感を放ち、自信に満ちている印象があった。あまりに存在感があったので、投資のスタンスを聞いてみた。

証券会社はどこでもいいという。お金だけ払って買いたいものを買うのだそうだ。それだけよく買うと証券会社からはせっせと営業の案内を寄越すが一切相手にしないという。彼にとってはノイズでしかないのだろう。買いたい会社は、すべて独自の判断に基づいて決める。投資家説明会に時々出向いては、“掘り出し物”を見つけ、気に入ったら買う。買ったらすぐには売らず長期スタンスで持つのだそうだ。

テレビや雑誌、また人の噂に惑わされずに、自ら見たものと聞いたものだけを信じる、、私は共感を覚えた。
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社内が出産ブームで子沢山である。男女ともに子供が出来たという報告が相次ぎ、2年で10人を超えた。水天宮神社の近くに引っ越したからだ、、という人間もいるが、、、 ちょうど30才前後になる人間が多いのと、上場して会社がひと段落したこと。また、それに関連して給料も幾分上がり、産休関連の制度も充実させたのと少々関係があるだろう。うちでは、寿退社もないが、妊娠しての退社も今のところ存在しない。女性は全体の約4割だが、みんな結婚しても出産しても働き続けている。私も女性の戦力をとても重視しているので、産休の制度を新たに充実させた。出産経験者と妊娠中の女性に提案させた。当初はえらく遠慮がちなものが提案されたが、「それでは彼女たちに頼んだ理由がない」ということで再提出させた。

具体的には、職務等級や在籍期間によりグレードアップするポイントが付与され、出産祝い金(健保からの支給金額にプラスアルファとなる)、タクシー代、在宅勤務、通院休暇など自分の都合のいいものに利用できるようになっている。また、産休からの復帰後に、保育料の補助、看護休暇、2時間単位での有休取得、ベビーシッター割引券の付与、フレックスタイム制、時間短縮勤務や在宅勤務などだ。入社直後の女性が妊娠しても法律で定められた最低限の保障しかないが、3年以上勤務した人間の場合は手厚く保護される。延長保育料の一部補助や、年12日の看護休暇もある。
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