株式会社ラクーンホールディングス

小方の気まぐれ日記
小方の気まぐれ日記 2012年
2012年12月 SNS
Twitter、Facebookに続きLineと、次々に新しいSNSが登場している。
以前社内の人間に、弊社がその辺の展開(SNSを使ったマーケティング)に弱いという指摘を受けたことがある。確かに弱い。というよりほとんどやっていない。肯定派と否定派の言い分は大抵こんな感じだ。

肯定派:大手がみんなやり始めている。うちもやりましょう。
否定派:彼らは隣左右がやっているとか、雑誌で見たとかそんな理由で始めただけで、そのツールの長短に関してきちんと感想を持って始めたとは限らない。
肯定派:ネットの世界では、悩むよりやってみるが正解では?
否定派:その言葉に踊らされて酷い目に遭った人が大勢いる。その言葉で動く人は、自分の感想を持てない人だけだ。なんでも、やってみればいいとは限らない。
肯定派:コミュニケーションツールなのですから、そこに登場すること自体は大事です。
否定派:SNSは全部一緒じゃないので、ただ登場すればいいというものではない。あるものは友達とのものだし、あるものは会ったことなくても趣味や価値観を共有するためのものだし、プライベートであれ仕事であれ、その辺をよく考えて使わなくてはいけない。
肯定派:いつも使うコミュニケーションツールに、自分に必要なサービスの紹介が出てきたら便利ですよ。
否定派:それって、公園で遊んでいる人たちの輪に、鞄一杯に売りたいものを詰め込んで「やあっ!」って入っていくようなものでしょう。それを営業努力という人もいるだろうけど、好かれる気がしない。商売人として好かれないことは避けるべき。

ここで、ゲーム終了となる。
このような理由で、SNSを使った戦略が少ないのだ。
2012年11月 7年ぶりの女性部門長
7年ぶりに女性の部門長が誕生した。これまで、技術戦略部ウェブマスターチームだったセクションが独立して1つの部門になったからだ。女性の管理職は他にチームリーダーが3名いるので合計4名ということになる。ちなみに女性従業員は全体の4割だ。それは顧客である会員小売店の4割が女性だからだ。

女性の管理職登用に関して、日本は遅れているとよく言われるが私もその通りだと思う。20年前であれば、女性は女子短期大学の出身が多く仕事への意識も高くはなく出産と同時に辞める人も少なくなかった。しかし、それは遙か昔の話しである。他の先進国と比較しても日本女性の能力が低くないことは明らかなのに、女性の管理職が10%しかいないのは文化の影響か、もしくは我々の意識が遅れているからなのかもしれない。

部門長を決める際は、役員や他の部門長の意見を聞き参考にしながら決める。今回の人事は他の役員からの推薦で満場一致での決定となった。そのような形で行っているため、女性の管理職を増やすには、私一人の意見ではなく周りの意識から変えていかないといけない。私は、よく男性管理職に「男性の物差しで女性を計ると短くなる。しかし、女性の物差しで男性を計ってもやはり短くなる」と言っている。結婚すると分かるが、男女は取り柄が異なるので互いを必要とする。取り柄が異なるということは、自分の尺度で相手を見ると劣っているように見えるかもしれないということである。男性が重たいものを持ち、「こんなものも持てないのか?」と女性に言っても仕方がないのだ。女性の管理職を登用する場合は、男性管理職の意見を聞くよりも、部下である女性社員の意見を聞くべきかもしれないのだ。多くの人に信頼され、頼りにされているなら管理職は務まるのだから。
2012年10月 本社移転
本社社屋を移転した。狭くなったからだ。不動産の価格が下がっていたので、広くなったが家賃は安くなった。創業19年目で7回目の引っ越しだ。

ところで、私は「私が社長であるうちは、本社はこの近辺からは離れない」と宣言している。なぜならば、社員達が不動産の購入を検討する年頃になっているからだ。会社がどこに引っ越すのか分からないのでは、安心して住居を買うこともできないだろう。社員の豊かな生活を望むなら、給料を上げるだけでなく本社の場所固定を宣言するのはとても重要なことだと思っている。
本社移転
2012年9月 社員交流の必要性
若手社員から、「互いをもっと理解するための行事が欲しい」という意見が出た。確かに社員は100名近くになっているが、まだ「互いがよく分からない」という程の規模とは思えない。ただ、子会社となった株式会社トラスト&グロースを入れると、120名超えるし、部門によって絡みが少ないので、なにか行事を行おうということになった。

弊社では以前より有志による社員旅行はあるものの、社員全員でいく旅行は実施していない。それに社内には社員旅行に対して良く思っていない者も少なからずいる。「最初の1、2回は楽しかったが、貴重な休日を使い、多少なりとも上司に気を遣い、団体行動で自由もないので継続して参加したくはない。。」という意見もあるのだ。。。う〜ん。サラリーマン経験もある私もこれには納得せざるを得なかった。

悩んでいると、ある女性社員が提案をしてきた。「くじ引きで少人数のチームを決め、各チームごとに日帰りなどの小旅行を企画して発表する。そしてどのチームが一番面白い企画か全員で投票して競う」というものだった。これはいいと思った。なぜならば私から見てこの企画は、たくさんのものが同時に手に入るからだ。まず、企画力の鍛錬になる。さらに、行動力、協調性、資料作り、プレゼン能力などなど。また、子供のいる人や酒の飲めない人など、他人の事情というものを理解する機会にも繋がる。

この企画は大成功だった。仕事の関係がなくても仲良くなったスタッフたちが大量に増えた。
社員交流の必要性
2012年8月 part.3 新監査役就任
長年お世話になった千葉監査役が任期を終え、新たに中辻氏が監査役に就任した。監査法人の出身で会計事務所を立ち上げたばかりの人だ。

ところで、弊社にはまだ社外取締役がいない。昨今の状況から社外取締役が持つ重要な役割は認識しているものの、コンプライアンスの強化は社外取締役ではなく監査役に求めている。役員は、365日24時間体制でいつでも相談できる状態でいて欲しいし、見張り役を期待されて参加したのでは事業展開にスピードが出ない。社外に役員を求めるのも前述のとおりで気乗りがしない。
ただ、監査役は決して経営陣の知人友人を頼らず、外部から普通に募集することにしていて、真摯な監査をお願いすることにしている。
2012年8月 part.2 コーポレートサイトをリニューアル
コーポレートサイトをリニューアルした。2010年11月に100%子会社となった株式会社トラスト&グロースの社長でもある武田浩和氏を新たな役員として迎え、それを期にデザインを一新したのだ。ちなみに、資本提携した際に役員にという取り決めはなかったが、純粋に必要だと思ったので役員として経営に入ってもらった。

私が役員を社内から登用する場合、功労人事はしない。それは、役員に必要なのは手柄ではなくその時必要とされる能力だということだ。能力とは短期的な数字を上げることだけではなく、長期的な会社としての価値そのものを上げる能力のことである。

せっかく、コーポレートサイトをリニューアルするので、少し面白いことを提案した。スタイリストとメイクを付け、服装や雰囲気にちょっとこだわって撮影会をしたのだ。見栄えは良くなったが、私だけ日焼けが目立ったのか「かなり遊んでますね?」といわれるようになった。。。いいことだろうか?悪いことだろうか?部下に聞いたら、「きっと、いい意味ですよ」という答え。部下も楽観的だ。
コーポレートサイトをリニューアル
2012年8月 遊びの食わず嫌い
「遊びの食わず嫌いはとっても損だぞ」・・私が社内の若い連中によく言う言葉である。
20代において、あれが嫌い、これが嫌い、と食べ物の好き嫌いは相変わらず多いような気がするが、「遊びの食わず嫌い」も増えているなとつくづく思う。不景気のせいか、はたまた草食系とかいうやつなのか、海が苦手、山が苦手、スキーも海水浴もしたことがないという人がやたら多いのだ。何回かやってみてどうも苦手というならそれは仕方がないとも思うが、聞いてみるとそもそもやったことがないという。
考えてみたら、バブル崩壊以降景気は落ち続けるばかりで、車どころか免許すら持っていないというのが多いという。車が無ければ、海水浴もスキーも行きようがない。あれはバスや電車で行くとあまりいい印象が残らない。
「若いうちはそれでもいいかもしれないけど、40代とかになったらつまらないおっさんって言われるぞ」というとみんなが笑う。なんだか、注意するポイントが普通と逆なのだそうだ。
2012年7月 part.2 ボードメンバーの増強
今年の株主総会が無事終了した。参加頂いた方々は例年をかなり上回る人数だった。昨今のさまざまな事件の影響か、投資家達が経営陣の話を直接聞こうとしているのを肌身で感じた。
さて、今回は新しい取締役が1人加わった。子会社のトラスト&グロースの社長である武田だ。35歳とまだ若く、他の役員とも話しが合いそうだ。また長らく同じボードメンバーでやってきたので、新しい風を吹き込んでくれるのではと期待している。これに伴い、コーポレートサイトも一新した。若いリーダー達を主役としたイメージだ。
これから、ラクーンでは彼らが生み出す複数のビジネスモデルを展開していくことになる。飽くまでも中小企業の企業間取引に特化はするが、そこで学んださまざまな事柄を材料に、社員が自由にアイディアを出し新規事業を展開していく。これらを組織として評価し、継続と中止を判断できる仕組みも作っていく。
2012年7月 教育という仕組み

システムの不具合により、同じメールを7回も送信してしまった。それも全顧客にだ。メールでのトラブルだったせいか、電話でのクレームは少なかった。しかし、副社長が対応したクレームの報告も聞いて、私は深く反省をせざるを得なかった。
創業以来の古いメンバーは、皆該当業務の熟練者達だが、それを新しく入ってきた仲間に伝える仕組みが不完全であることを適切に指摘されたからだ。教育の重要性に関しては、数年前から強く意識してきただけにショックは大きかった。
会社の拡大に備えて、これまで勘と経験でやってきたことを早急に仕組み化しなければならない。すぐに取締役を集め、このことを話し合い各部署に指示を出した。
2012年6月 セール
メーカーの間では夏のセールの話題で持ちきりだ。一部の百貨店が連動して、これまで7月1日前後まで前倒しされた夏のセールを2週間程度遅らせるということ発表したからだ。ラクーンとしては、これをどうか考えるかと部下に聞かれた。

われわれの目標は、流通を理想的な形へと進化させることだ。そんなわれわれから見ると、そもそもセールというものが、本来の意味を失ってしまっているかのように思えてならない。本来セールというのは、季節の終わり際に、言葉通り売れ残ったサイズ切れやデザインや色合いで予測を外してしまった商品が、マークダウンをして販売されるものだったはず。それがいつの頃からか、セールという名のイベントになってしまった。「安いにこしたことはない」、「セールは歓迎だ」で果たしていいのだろうか?違法なわけでもないし、これも一つのマーケティング手法だという人もいるかも知れない。しかし買う側としては、定価ってなんだろうという疑問が残るのも事実だ。

差別化は一定の成功を収めたものと認識している。市場で評価を得ている企業が続々と参加し、弊社以外に出ないという企業もずいぶん増えた。前期、質の向上に使った経営資源の大半を今期も、再び成長戦略に投入する。作り上げた質を維持しながら再び成長を目指すというものだ。また、今期は新規事業も立ち上がる。

弊社のマーケットは、買う側である小売店を中小のみで構成している。未引取りや返品を行う大手小売業を排除することにより、完全買取型の流通網となるからだ。これはメーカーに喜んでもらうために行っていることではない。売れ残らない前提は、価格に反映されるわけで、それにより小売店の店頭で(質の割には安い)競争力のある商品を置くことが可能になるからだ。ただし、百貨店や既存の問屋と同じ商品を掲載している企業は「希望小売価格」を合わせなくてはいけないため、このメリットを出すことが出来ない。仮に卸値が安くても、店頭で安く売れないのでは、よく売れる商品にはならないからだ。これを実際に出来るのは新興勢力とも言える社歴の浅い少人数のメーカー達だ。ちなみに、彼らはこの不景気でも倍々で売上を伸ばしていっている。
2012年5月 「報・連・相」は上の人ほど
社内には日報をメールで出すというルールがあり、私も毎日送信する。決定事項の伝達や問題点の指摘、アイディアの募集などもこれを使って行っている。また、「報・連・相」は下の人よりもむしろ上の人ほどまめに行うべきで、その意味でもこの日報はとても役立つ仕組みとなっている。5分もあれば全社員の昨日の業務が把握でき、そのまま返信や指摘も行うことが可能なのでとても便利だ。私は、この日報にその時々に思うことも書き添える。参考までに、どんなことを書くのかちょっとお見せすると以下のようなものだ。

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5月某日の日報より

話術、、、って大事だ。極端なはなし、商売人は9割口で稼ぐ。つまりは、「何を言うか」で人生は大きく変わってくるのだ。

普通に考えたら、会話は思考の産物なので中身のない人がトークだけを鍛えるのは無理と思えるかも知れない。しかし素晴らしい文章を書くのに、会話は下手な人が現実的に存在する。それも結構大勢いる。これは、会話が単なる思考の産物なだけではなく、練習などにより変えられるものであることを示唆している。ファッションと同じで「表面だけで見る人からは理解なんて得られなくて結構」という考えは、ビジネスの世界では大きく損を招く可能性もあるのだ。

商売人同士は会話を元に相手に点数を付けている。ある有名な経営者は、名刺を年間に3000枚も交換するそうだ。人間関係をどう整理するのですかと聞いたところ、貰うたびにしまう場所が違うのだ。Aは関係を継続、Bは様子見、Cはシュレッダー行き。恐ろしい話しだが、我々経営者の世界に2回目のチャンスはないのだ。

話術の重要性はビジネスに留まらず、人生全般に及ぶ。友人、恋人、結婚、家族、、、 話術が持っている影響力は計り知れない。起業したのにこれが原因で成功しない人も少なくない。そして、話術は人間関係に影響を与える。

さて、この話術だが鍛錬するには日頃を直すのが一番だ。というかそれしか思いつかない。残念ながら外部の講師を頼んで、、というわけにはいかなそうだ。1ついえるのは、役員達は話術の善し悪しを理解しているということだ。
2012年4月 新卒
4名の新卒と数人の転職者が入ってきた。人事が今年の研修はどうしようかと相談してきた。その時々の時代の傾向を参考にして研修の内容を変えているからだ。
不景気が続いているせいか、「入社することをスタートではなくゴールだと思う」学生が増えているように思う。特にわれわれが重視するのは、人が本来持つ個性である。緊張のあまりその個性を家に置いてくるような学生では困るわけだ。
借りてきたようなスーツを着て、初日から座学で研修をしたのでは欲しいものが得られない。そこで、人事と相談し何かわれわれらしいユニークな研修をしようということになった。
初日、新卒4名は歩きやすい格好で来いと指示された。朝一で辞令を渡した後、壁に大きな日本地図が貼られた。1名指名して「さあ、この地図にダーツを投げてください。」
その日の夕方、私と新卒4名はそのダーツの刺さった兵庫県の山奥にいた。。。。

(この続きは、朝日新聞デジタル「仕事のビタミン」に紹介されています。時間があったらご覧ください)
2012年3月 情報共有
「ナレッジマネージメント」というと大げさになってしまうので、あえて情報共有と呼ぶが、この情報共有には創業以来かなり力を入れてきた。かなりの大手から転職してきた人間でもうちの情報共有には驚かされるに違いない。社員であれば、「誰が誰に会い、どんな約束をしてきたのか」が簡単に分かるようになっている。取引先は数万社におよぶが、いつ問い合わせをもらっても、何年前だろうと、これまでにどんな約束がなされたのかを簡単に把握できるようになっている。
これらの情報共有ツールは、ママ社員達の育児に関する情報共有や、酒飲みの相手探しなどにも大いに活躍しているようだ。
2012年1月 長引く不況
新年はスタートしたが、先行きはとっても不安な新年だ。
天変地異に加えて原発の問題、それに追い打ちを掛けるように、世界経済の不安だ。テレビを見ると、正月らしく経済人たちが今年の見通しを述べている。一部の人が主張する楽観論も、私にはむなしく感じられる。経済が悪化しているので、多くの人にとって収入は減少傾向だと思われるが、税収の減った政府は増税の方向性を持っている。これが何を意味するかは専門家でなくとも分かると思う。
ただ、経営者は政治や行政と違い守備範囲が存在する。目指すべきは世の中を良くする事業展開だが、守るべきはステークホルダー(従業員やその家族、顧客、株主など)ということとなる。すべての経営者がそれをしっかりやれるなら問題は深刻ではないのだが。
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